考察テーマ2:シャア三(四)部作について。

  その三、初代からΖへ

 「シャアの行動の謎、なぜハマーンと決着を付けなかったのか、ダブルゼータの存在等。」

(かなり確信犯的な記述になってます)
 連邦に敗れたジオンの残党はアステロイドベルトに逃げたことになっている。
もちろんその中に、シャアはいたし、ハマーンとその姉もいたはずだ。もちろん、ミネバも。
小説版Ζなどを参照すると、シャアが地球圏に戻ってきた目的は、連邦政府の内情を探るため。
そのため、クワトロ・バジーナと名乗り連邦軍に潜入した。ここでの疑問が、シャアが反地球連邦組織
であるエゥーゴに参加したことと、そのエゥーゴでなかなかの地位に就いていること。
エゥーゴでそれなりの地位につけたのは、ガンダリウム合金を持ち込んだことであろう。
これは、逆シャアのサイコ・フレームとも似ているが。

 ここで考えなくてはいけないことは、一年戦争後の連邦政府と、連邦軍とティターンズ、
そしてエゥーゴの生い立ち(純粋に連邦上がりか、アステロイドベルト組とは別のジオンの残党か、
連邦上がり+シャアの引き連れてきたジオン兵か)。ジオンの残党全部が全部アステロイドベルトに
逃げたかというと疑問が残る。サイド3に残存していた艦隊などは逃げることが可能であったろうが、
前線の生き残り部隊は、連邦軍に投降しただろう。だが、ジオン上がりの軍人はその後どうなったのか?
まさか、全員処刑とかしないよな。よほどの、重要人物でもない限りは、つまりは一般兵は、
連邦軍に吸収されたのではなかろうか。軍人はわからないが、グラナダのジオニック社のスタッフは
連邦軍の管轄下かあるいはアナハイム・エレクトロニクスとなったはずである。アナハイム社の前身が
ジオニック社であったという事は周知の事実であろう。リック・ディアスを見れば理解ができる。
そう、リック・ディアスだ・・・。
 エゥーゴの本部(?)がグラナダであるという事と、アナハイム社、そして大元はジオンの月面基地。
これらから推測するに、エゥーゴはやはりジオン系の軍人が中心となって発生したのではなかろうか。
最新のデータ(バンダイのプラモカタログ)によれば連邦内・反地球連邦組織と言うことになっている。
連邦軍に吸収されたジオン兵が、その組織に不満を募らせ、そして同じく旧来の連邦兵の中にも
不満を持つものがいてそれらが一つになってエゥーゴという形になったのではなかろうか。
また、エゥーゴの誕生には、ティターンズという組織の誕生も影響しているはずだ。
ここら辺の詳細はOVAの0083に詳しく描かれているらしいが・・・。あれを認めるとMK-Uがな。
そのうち小説版でも読むか。さて、ティターンズであるが、連邦軍内のエリート部隊として
組織されたはずだ。ただ、そのエリートと言うことを鼻にかけ好き放題やり始めたに違いない。
そして、連邦軍をも掌握しだしたのだ。それに反発して、かつ連邦政府高官の弱体化も併せて、
地球のために立ち上がったのがエゥーゴということで良いのであろうか?

 だが、そのエゥーゴにシャアがさらに名前を変えて参加したというのが興味深い。
連邦(政府)軍に潜入というのは、ガンダリウムγとアナハイム経由と戦後の混乱でたやすかっただろう。
その潜入した連邦でシャアが見た物は、腐敗しきった連邦政府と、ヤクザまがいのティターンズか。
そもそも、なぜシャアが地球圏に舞い戻ったのか?。考えられるのは、ミネバを操るカーン姉妹に
嫌気がさしたからだろう。少なくとも、キシリア以外はシャアの本名を知る由もないはずだから。
Ζを見る限り、ミネバの命で地球圏の視察に来たという事だが、それをいい事にザビの亡霊から
逃げ出したのではなかろうか?

 だが、なぜそのハマーンをカミーユでもなく、ジュドーに倒させたのか。そして、リィナを助けた
セイラは一体何を思っていたのか。


 次に今掲げた問題を検証するに当たって、さらに問題になってくるのが、カミーユの存在と、
Ζの主役だ。ある意味、Ζという物語は同じ時間軸ではあるが、初代のパラレル的存在だ。
だから、カミーユはサイド7に住んでいたし、素人ながらにガンダムを操縦するし、
親がガンダムの開発に携わっていた。と、考えると、Ζの主役はカミーユになる。
だが、周知の通り、Ζのエンディングのスタッフロールの一番始め名前はシャア・アズナブルである。
クワトロ・バジーナでもなくシャア・アズナブルとクレジットされている
(別に、視聴者にクワトロ=シャアと訴えかけていたわけでもあるまい)。
そして、そういう目で見ると確かにシャア中心に物語が廻ってなくもない。カミーユの単独地球編も
あるが、ポイントポイントは、シャアがカギを握っていたように思う。大体、Ζ最後の三つ巴戦も、
主張的にはシャアとシロッコとハマーンと言うことになろう。ここでついでに言えば、
レコアがシロッコのもとに流れたのもシャアが原因だと考えられるし。エマが、エゥーゴに
寝返ったのもシャアの影響というのは言い過ぎか。また、アムロが戦士として復活したのも、
カミーユの影響と言うよりもシャアの影響と言うべきではないか。現に、アムロは無意識のうちに
「どいてろ、シャア」と叫んでいるし。

 以上のように、抜けていることも多いが、Ζに於いてシャアは重要すぎる。それ故に、
Ζの最後で行方不明になったことが許されないし、また何を思って消えたのかを考察するのは興味深い。

 まず、問題究明に即して、逆シャアとダブルゼータの存在。どちらが先に決まったのか。
私の記憶が確かなら、逆シャアが先に決まったはずだ。それは一体Ζ制作時のどの辺りで決まったのだろうか。
アムロと共に戦ったシャアが、再びアムロと戦う。そのため(?)にシャアは雲隠れせざるを
得なくなった。いやまて、ダブルゼータに相当するのが逆シャアではなかったのか。
 では、ダブルゼータがあのような話ではなく、シャアの逆襲の話だったとしたら、
どのような展開になっていたのだろうか。シャアは、エゥーゴに反旗を翻したのか?
 いや、待て、そうなるのは、エゥーゴがティターンズに勝っていたとしてだ。
この事実だけは変わらないのか? シャアがエゥーゴに敵対したとして、その相手はカミーユか、
アムロか、はたまた連邦の高官達か?。そもそもシャアは誰に逆襲する(した)んだ。
 本来ならば、Ζは大団円で終わっていたという。では、逆になぜあのような悲劇的な
結末で終わったのか?それは、映画版逆シャアが控えていたため?
結局シャアとハマーンの決着よりもアムロとの決着が優先されたの?
だから、ハマーンをその前に消さなくてはならなかった。だが、カミーユにシロッコとハマーンを
殺らせるのは、荷が重すぎた?それに、シャアの指揮するジオンを作るには、
ハマーンのネオ・ジオンは邪魔で、かつ巨大すぎた。だから、ジュドーが必要になった?
それには、カミーユを始めアーガマ、ラー・ディッシュのクルーが邪魔だった。
だから、悲劇的にみんな消えていってしまった。そう、逆シャアはΖを悲劇的にした張本人なのだ。
飛躍しすぎか?
 ダブルゼータが、逆襲のシャアだった場合、主人公は誰だったのか。もちろん、シャアか?
その場合、映画版逆シャアとは、まるで違う物語になっていただろう。思うに、シャアの逆襲の相手は
連邦政府であろう。それは、映画版と同じだが、逆襲の方法が違ったように思う。
ネオ・ジオンは組織しなかったはずだ。エゥーゴを仕切ったはずだ。そのエゥーゴが、
アクシズを地球に落とすような暴挙に出たかどうかはわからないが。少なくともそうなれば、
ブライトもアムロもエゥーゴに敵対しただろうが・・・。
 (ちなみにここら辺は、ギレンの野望が出る以前に書いている。ギレンの野望を参考にすると、
シャアが指揮する組織にはブライトがいたりして、核の冬を目指す間違った理想を実現させようとする
シャアではなく、逆シャアのアムロ的なシャアであったはずだ。)

 逆シャア(ダブルゼータ)が、アムロとシャアの決着をつけさせるものだったから、
七年後に持ち越された。地球のために共に戦った、好敵手がすぐに戦火を交えるのは、
さすがに不適だと思ったのか。

 さて、Ζに於けるシャアについて数々の疑問だが、それはプレステ版Ζガンダムで
だいぶ解消されたように思う。
 超深読みすれば、シャアはアステロイドベルトでのハマーンの対等に嫌気をさした。
直接対立等はしなかった。でも、自らはひそかに将来に向けての準備をしようとしていた。
持ち駒の一つとして、エゥーゴがあった。でも、裏ではネオ・ジオンを組織していた。
グリプス戦争集結近く、疲労したアーガマとティターンズの崩壊を目のあたりにして、
それでも連邦のイニシアチブはエゥーゴが取ることを悟り、それによりハマーンのネオ・ジオンは
滅びると思った。でも、結局のところ、ブライトやアムロが理想に燃えたところで連邦政府高官の
腐敗はなくならない。自分はここで体力を消耗せずに、早々と戦線を離脱し、来るべき新生かつ
本当のジオンを作らねば。そして、シャアも人の子、幼いミネバの命を絶つことはできず、誘拐した。

 という推測だがどうだろう?


 ところで、いわゆるグリプス戦役でのセイラについて考察してみたいと思う。
まずΖでセイラが出てきたのは、シャアがダカールの連邦議会を乗っ取ったとき。
この手で殺したいと過激な発言をしていた。 次に、ダブルゼータだが、セイラの出てきた必然性がわかりかねない。
なぜ、リィナを助けたのがセイラなんだ。確かに、初代のホワイトベールクルーのうち、
Ζでほんのちょっとしかセイラは出てないけど。アムロは、基本的にサービスが第一にあっただろう。
カイがジャーナリストとしてジャブローに潜入した必然性も理解し難いけど。
ハヤトはアウドムラの艦長として充分すぎるほど活躍したし。
ミライの存在には必然性を感じる。悲劇のヒーロー・ハサウェイのためにも。
フラウ・ボゥも。要は、アムロを出すと必然的にフラウは出てくるし、そうするとハヤトも必然で、
アムロががんばるためにカツやミライが出てくる。ブライトについては何も言うまい。
ってゆーかもの申すと言えば、ブライトに?。ってゆーことでカイがサービスキャラか?

 で、セイラである。セイラはクールだったから、セイラがいなくてもアムロは立ち直れた?
シャアの妹であるという負い目からアムロから離れた?セイラはセイラなりに父の意志を
引き継ぎたかったのか?。ダブルゼータでのグラナダでのブライトとセイラの会話から
セイラは女実業家らしい。女実業家の投資なんてたかがしれてるわって、何に対しての投資?
金で父の意志を継ぐ?
 この闘いに兄の意志は感じられないわってセリフは、逆シャアを暗示したものなのか?
だとしたら、セイラはそのセリフをはくために、偶然リィナを助けたのだろうか?
ダブルゼータが放送されている時点で、逆シャアは企画されていたはずだから、納得はできるが。
それにしても、カイがジャブローにいたよりも、リィナをセイラが助けた方が、わざとらしくないか?。
幻の、コミックボンボンに連載されていた漫画版ダブルゼータでは、リィナを後方サラミス(?)級の
ブライトのいるブリッジに連れてきたのは、シャアだった。手伝ってくれないのか?という
ブライトのセリフに、この闘いは新たなニュータイプの活躍でけりが付く的発言をしている。
時は既に、ジュドーとハマーンが戦っているその時に。
 つまり、漫画版ではリィナを助けたのはシャアである。このセイラとシャアの違いに
どんな因果関係があるのだろうか?テレビ版では、ここにシャアを出すわけには行かなかった。
なぜならば、身を隠して事を起こす準備をしているはずだから。
それに、ミネバが影武者であった以上、それを連れ去ったシャアがこの時、表立っていては困るのだ。
 では、なぜ、漫画版ではシャアが出てきたのか?これこそ、サービスなのだろうか?
ところで、シャアがリィナを助けていたとなると、シャアは地球にいたことになる。
これはおかしな事である。ミネバを隠すには地球では目立ちすぎるはずだ。
どこかのローカルなコロニーが一番だろう。それに、スウィートウォーターにシャアはいなければならない。
 セイラがリィナを助けていた理由として考えられるのは、セイラを自然にダブルゼータに
出させるためではなろうか?セイラのブライトとの会話で、この戦いに兄の意志は感じられないわ、
もっと他のことを企んでる的発言。これを言わせたくて、つまりは逆シャアを暗示させるために
セイラは出てきた。何しろこのような発言はアムロの他にセイラしか言えないはずだ。
アムロがここで言うことができないのは(ハヤトが言うには、この時点でアムロは
宇宙に上がっているはずだが・・・)、アムロが出てくる以上、戦士として復活しているわけだから、
それ相応のモビルスーツと戦いが必要になってくるはずだ。物語がそれでは複雑になる。
まぁ、ここでブライトと一緒に闘ってくれないとロンド・ベル隊で14年ぶりに同じ艦に乗る
という解せない展開にもなるのだが。要は、アムロを出すわけにいかなかったのだ。
 そこで、このセリフをはけるセイラの登場となったはずである。しかし、いくらなんでも、
いきなりセイラを出させるわけにはいかない。そこで、リィナを助けるという、大役を得たのだろうか。
しかし、「リィナの血」辺りでここまで考えてつくられていたのだろうかは疑問であるが。
また、この推論が逆で、セイラが最終話に出るから仕方なしに、シャアのことをしゃべらせたのだろうか?
 ところで、漫画版のように最後に登場するのがシャアだったら。漫画版は残念ながら、
リィナの血に該当する辺りを見たことが何とも言えないが、リィナを助けたのが地球に居住するセイラで、
ブライトへの引き渡しがシャアだったら面白い。一年戦争時は、サイド7でお互いを確信しなかったが
ニアミスしたし、テキサス・コロニーでもア・バオア・クーでも会った二人である。
一年戦争後に全くの音沙汰なしというのも変ではないか?

 それにしてもである、ホワイトベースの元クルーはみんな地球住まいである。
アムロは連邦に幽閉されていたわけであるが。マフティーの時代と比べると、この時代はまだ、
地球居住者排除規制が緩かったのであろうか?それとも、NT部隊のホワイト・ベースのクルー達が
みんながみんなアムロのようになるのを恐れて重力の井戸のそこに押しとどめたのだろうか?
 まぁ、傷心のカミーユがダブリンにいてファもいたわけだし、結構規制は緩かったのかも。




   その四、Ζのシャアには女がいないのはなぜか?
   その五、Ζに関してその他の数々の疑問
   その六、その他TVシリーズに冠する数々の疑問
   その七、四部作の所以、閃光のハサウェイに関する考察

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   その一、Ζの主役はシャアか?
   その二、どこから考えるべきか初代ガンダム


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